地下室少年

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管理人出國因想念家貓乃至怠惰更新(藉口

謝謝相本推薦,FC2見

 
COSTAR 工作室寫真
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sa

頂告白的那首vV(其實和姐姐溫馨對話也是這個XP)
不過哲雄...你夢裡的蓉司是什麼模樣?是二人牽牽小手還是難以啟齒的內容?(〃▽〃)

好愛屋頂告白那幕,所以貼上對話(心)


 少し冷えた風が正面から吹きつけてくる。
 久々に外の空気に触れた気がした。

 鉄製の扉を通り抜けて、蓉司は哲雄とともに屋上へと足を踏み入れた。

 目の前には絵画のように美しく色づいた夕焼けの空が広がっている。

 これまでの出来事が全て嘘だったのではないかと思うほどに幻想的で、一瞬見惚れる。

 こうして見ると、世界は何も変わっていない。

 自分たちがどれだけ非現実的な現象に翻弄されていようとも。
 世界は素知らぬ顔で、いつも通りの時を刻んでいる。

 個々の変化など、きっとほんの一瞬でしかないのだ。

 今、この瞬間に生まれているであろう怒りも、憎しみも、恨みも、悲しみも。

 全てが些細な出来事に過ぎない。


 驚いて振り返る。

 開け放たれた扉の向こう、蓉司たちが上ってきた階段の方からだ。
 銃声に似た音だった。他にも誰かいるのだろうか。

 蓉司と同じく振り返った哲雄が、無言で扉を見据える。様子を窺っているのだろう。

 時間が経っても変化がないことを確かめると、哲雄は蓉司へと視線を向けた。


 【哲雄】

「……怪我は」

 そこで、腿に傷を負っていたことを思い出した。

 意識すると、刃物で突き上げるような痛みを足全体に感じた。
 入ってきた扉から今立っているところまで、コンクリートに点々と血の跡が続いている。

 【哲雄】

「痛みは」
【蓉司】

「少し。でも、動けないほどじゃない」

 【哲雄】

「そうか。他に、どこか怪我は」

 【蓉司】

「大丈夫だ」

 言葉少なな気遣いを密かに嬉しく思いながら、蓉司は頷いた。
 
 ふと、ずっと手を掴まれたままであることに気付く。
 今さらのように気恥ずかしくなったが、外そうとは思わなかった。

 【蓉司】

「……どうする、これから」

 夕空を眺めているうちに、そんな言葉が口をついて出た。
 本当に、どうすればいいのだろう。

 仮に家に帰り着いたとしても、明日は? あさっては?
 自分たちがどうなっているのか、どうするべきなのか、何も見えない。

 【哲雄】

「ずっと」

 ぽつりと、哲雄が口を開いた。
 赤い光を透かした薄茶の髪が風にそよぐ。

 【哲雄】

「ずっと、一緒にいればいい」

 【蓉司】

「…………」

 【哲雄】
「他のことなんて考えてねぇよ」

 【蓉司】
「どうして、そこまで……俺を」

 正直な心境だった。
 どうしてそこまで自分に拘るのか。

 【哲雄】

「言っただろ。俺が見つけたって」

 赤い空を見つめながら、哲雄が答える。

 確かにそう言っていた。
 俺が見つけたのだと。

 哲雄はいつから自分を見ていたのだろう。

 頭に浮かんだのは、哲雄を避けるきっかけになった出来事だ。

 1学期、数学の授業中だった。
 ふと気付くと、いつも哲雄が無言でこちらを見つめていた。

 もしかしたら――

 【蓉司】

「……お前、最初から知ってたのか。俺のこと」

 善弥はメスだと言っていた。
 哲雄のことは、優秀なオスだとも。

 その意味は掴めていないが、自分の体に起こった現象からなんとなく察していた。

 オスとメス。
 体から産み落とされる肉片。

 つまり、子孫を残すという行為の上での『メス』なのだろう。自分は。

 【哲雄】

「…………」

 哲雄は何も言わない。
 それが、答えだった。

 【蓉司】

「じゃあ、今までのも全部……、メスである俺を手に入れるため、だったのか」

 オスとしての本能的な行動とでもいったところか。

 【哲雄】

「最初は、そうだった」

 その答えに、微かな痛みが胸をよぎった。

 【哲雄】

「今は……よく、わかんねぇよ」

 涼しい風が、静かに2人の間を通り抜けていく。

 【蓉司】

「自分の体のことは知ってたのか?」

 【哲雄】

「周りと違うって自覚したのは、中学の時だ。本当の親も名前も知らねぇし、自分は……人間じゃないんだって思った」

 ぽつぽつと自分のことを話す哲雄の言葉が少し不思議で、心地良い。

 【哲雄】

「それから、ずっと思ってた。人間じゃないのに、人間の中で生きてくしかないって。でも、高校入って……お前見て、すぐにわかった。こいつ、同じだって」

 【蓉司】

「どうして、わかった?」

 【哲雄】

「匂いがした。俺と同じ、匂いが」

 匂い。
 そう聞いて思い浮かんだのは、哲雄から香ってくるあの匂いだった。
 自分からも何か匂いがしていたのだろうか。

 【哲雄】

「俺の他にも、オスはいる。翁長もそうだ。
 だから、なんとかして……お前を自分のものにしたかった」

 【蓉司】

「……お前が、オスだからか」

 生物の本能としては至極当然の行動だ。
 ただ、どうしても……それだけなのかと思う自分がいた。

 哲雄は少し思案するような間を置いた。

 【哲雄】

「今は……よくわかんねぇよ。オスとかメスとか、人間じゃないとか、そういうのも。お前追っかけて、嫌がられたりとか話したりしてるうちに、どうでもよくなってきた」

 【哲雄】

「人間じゃなくても、メスでも……こいつはごく普通で当たり前のことしか考えてないって思って。普通の、人間みたいに」

 【蓉司】

「それって、どういう……」

 【哲雄】

「お前、寂しくなかったか」

 唐突に問われて少し驚く。
 哲雄が真摯な眼差しを向けてくる。

 【哲雄】

「自分は周りと違うって思って……1人で寂しくなかったか」

 ……寂しくなかった。

 寂しくないと思いこんでいた。
 寂しくないと思いこまなければ、自分を守ることができなかった。

 蝕まれていく体が、独りの世界が恐ろしかった。
 自分以外の全てが冷たくて、鋭い刃物のように思えた。

 だから、自分もそうでなければならなかった。

 本当は……寂しかった。
 表面に塗りこめていたメッキが剥がれ落ちて、小さな痛みが灯る。

 だが、それは自分だけではないはずだ。
 問うように哲雄を見つめる。

 【哲雄】

「今は……お前と一緒にいたい。それだけだ」

 これは――ただの傷の舐め合いなのかもしれない。

 だが、傷の舐め合いだとして……何が悪いのか?
 そうすることで惹かれ合う魂も確かに存在する。

 まるで、ばらばらになった一対の存在のように。
 失った、あるいは求めても得られなかった欠片を求めて引き合う。

 哲雄の話を聞いているうちに、自分も何か話したいと思った。

 そうして思いついたのは実にくだらないことで、それでも聞いてみたくて口を開いた。

 【蓉司】

「……お前さ。今まで女とっかえひっかえって、本当なのか」

 哲雄が横目に視線を向けてくる。

 【哲雄】

「周りが勝手に寄ってくるんだよ」

 【蓉司】

「ひでぇ言い草。最低」

 哲雄らしい台詞だ。
 つい笑ってしまう。

 【蓉司】

「たくさん付き合ってきたのに、好きな人とかできなかったのか? 本当に惚れたやつとかは」

 【哲雄】

「いない」

 【蓉司】

「だよな」

 哲雄の即答に、蓉司も頷く。

 
 【蓉司】

「だってお前……おかしいよ。いきなり無言で近付いてきて、触ったりして……正直、すげぇ怖かった。こいつ何考えてるんだろうって。なんで俺のところに来るんだって」

 それも遥か遠い昔のことのようだ。
 暮れてゆく空を眺めながら、懐かしむように双眸を細める。

 【蓉司】

「でも、最初はわけがわからなかったけど、助けてくれることもあったりして……。もしかしたらコイツ、いつも俺を見てるんじゃないかって、そんな風に思ってきて」

 これは、自惚れではないはずだ。
 そうでなければ説明のつかない場面が多々あった。

 哲雄は否定することなく、静かに話を聞いている。

 【蓉司】

「……1学期の頃からお前のこと警戒してた。授業中にじっと見られてることに気付いて、睨まれたと思ったんだ。お前、何考えてるか全然わかんなかったし」

 色褪せていく記憶の中で、今もまだはっきりと思い出すことができる。それほど強く印象に残っていた。

 思えば、あの時から哲雄がいつも頭の片隅にいた。

 【蓉司】

「でも、そのうち、もしかしたら悪いやつじゃないかもって思えてきて。色々話とか聞いてたら、思ったんだ。……ちょっと似てるのかなって。俺たち」

 【蓉司】

「お前、無愛想だし、全然話さないし、話聞いてるのかどうかもよくわからないし……。でも、お前がそうなった気持ちはなんとなくわかる。そうなるしかなかったんだろうって、そう思うんだ」

 小さく息を吐き出して、蓉司は空から哲雄へと視線を流した。


 【蓉司】

「だから、俺も……もういい。俺が何であっても、俺の気持ちをわかってくれるヤツがいるってわかったから。もう……いいんだ」


 言い終えると同時に、ふっと気分が軽くなった。
 言いたいことは全て伝えた。

 ようやく、互いに本当の気持ちを確かめ合えた気がした。
 

 【蓉司】

「変なこと、言うけど」

 照れ隠しに前置きをしてから、蓉司はどうしても言いたくなった言葉を続けた。

 【蓉司】

「なんか……今もしこの世界に2人しかいないって言われたら、そうかもしれないって思いそうだ。全てから取り残されるって、きっとこんな気分なんだろう」

 自分たちのことなどお構いなしに『日常』は過ぎていく。
 今日も、もうすぐ終わる。


 【哲雄】

「1人よりは全然マシだ」

 【蓉司】

「そうだな」

 もしかしたら、こうなることも生まれる前から決まっていたのかもしれない。

 だとしたら、1人じゃなくて良かった。
 それだけでも少しは幸運だと思える。

 永遠に1人きりよりは、永遠に2人きりの方がずっといい。

 哲雄がゆっくりと蓉司の方へ顔を向けて、真っ直ぐに見つめた。

 以前は、この視線に戸惑っていた。
 追い詰められて逃げ場を失うようで、困惑した。

 だが、今はわかる。
 哲雄の眼差しの意味が。

 【蓉司】

「…………」

 どんなことでも受け止めると伝えるように、蓉司もその瞳を見つめ返した。

 【哲雄】

……蓉司

 【蓉司】

「……うん」

 【哲雄】

蓉司

 大切なものを手にする時のように、そっと。
 哲雄が、自分の名を呼んだ。


 それがあまりにも心地良くて、目を閉じる。

 頭の中で、何度でも繰り返す。
 自分の名を呼ぶ哲雄の声を。

 それから、現実であることを確かめるようにそっと目を開けた。


 【蓉司】

「……永遠に続くものって、あると思うか」

 ふいに頭に浮かんできた問いを、そのまま口にした。
 哲雄は一度蓉司を見てから、その視線を空へ向けた。

 【哲雄】

「……さぁ」

 【蓉司】

「だよな。俺も、わからない」

 我ながら馬鹿げた質問だと口元を緩める。

 【哲雄】

「……でも」


 哲雄がさらに強く蓉司の手を握った。

 【哲雄】

ずっと、俺といろよ

  【蓉司】

「……あぁ」

 手を引っ張られて、哲雄と向かい合う形になった。

 血に汚れていても、真っ直ぐな眼差しは変わらない。

 じっと見つめていると、哲雄が顔を寄せてきた。
 目を閉じる。鼻先が当たり、唇が重なった。

 少しかさついた、温かな感触。
 閉じた瞼越しに夕日の赤い光が透ける。

 眩暈がするほど良い匂いが、2人を包みこんだ。


 
ずっと、一緒にいる。

 死ぬまで――おそらく、これから死んだあともずっと。
 永遠に?

 重ね合わせるだけの口付けをして、ゆっくりと離れた。
 言葉にしなくても、なんとなくわかっていた。

 『彼ら』を受け入れた時から、終わりは始まっているのだと。


 その思いを伝えるように、蓉司が哲雄の手を握り返した時だった。
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